『スポーツ中継のBS時代』という戦略

1月19日、フジテレビはF1中継をCSでの放送は現行通りとしつつも、地上波で放送せずBSでの放送に変更すると発表され、20年以上地上波放送されていたコンテンツをBSで放送するという事で衝撃を受けた。
では、その影響はF1にとって、はたまたスポーツ中継にとってプラスになることかマイナスになることだろうか?

地上デジタル化の完全移行され、殆どのテレビにはBSも110度CSも見ることは可能でパラボラアンテナさえ設置すれば見れる状況である。環境さえ整えてしまえば誰でも視聴ができるようになり、テレビチャンネルの選択肢が増える。
要は、今まで見ていたF1ファンにとっては見る意志と環境さえあればそれでいいのだ。一部地域であった予選の放送がされないという格差も消え、中継の仕方さえまともであればプラスに働くだろう。
しかし今まで見ていなかった層についてはどうだろう?BS放送になることでザッピングをして視聴する行為は減るし、新聞の番組表でも隅に位置している。それでも興味をもつ人は現れるのだろうか。
F1はただ走っているだけ。という敬遠される中で如何にしてその中にあるチームの作戦を伝えることが出来るか、白熱した模様を訴えられるかによるのかもしれない。
『見ているだけの感覚』をどう打破するか。というものはF1だけでなくどのスポーツでもあって、それを理解した先に見ている側の楽しみ方が"ファン"になる要素なのではないかと個人的には思う。

長年、地上波で放送されていたプロ野球も今やBS中継の主流となり、試合開始から試合終了まで見れる機会が増えた。試合の途中から中継が始まりいいところで終わるのが当たり前だった頃と変わってファンにとっては見やすくなり、放送もデータ重視で配球や選手の調子などをより伺えるようになったのではないだろうか?

他のスポーツでも、フィギュアスケートは競技をできるだけ多くの選手の演技を放送し、サッカー天皇杯ではデジタル化の利点の一つであるマルチ放送を使って同時間に行われている試合を同時に放送。WOWOWでは1つのチャンネルをほぼ独占しテニスのグランドスラムを朝から深夜まで連日生放送をし大会の余すところなく伝えている。
このように、BS放送は見て楽しさを見つける・・・興味を持つ、好きになっていく感覚を伝え始めているのではないだろうか。悪く言えば中身の数で勝負するとなるが、注目される部分でなく注目されていない部分も見せ始め、スポーツ競技の選択肢・・・さらにその先の競技内での選手やチームの興味を持つ選択肢が増えている。

そして、2011年10月e2スカパーチャンネルのBS放送が始まり、BSチャンネルのラインナップが増えた。2012年3月にもさらに増える
その中でJリーグ中継などを放送するBSスカパーや、スポーツ専門チャンネルのJ SPORTSが加わりたくさんのスポーツ競技の選択肢が増えた*1
CSチャンネルがBSチャンネルに加わることになり放送権の弊害が生まれ、J SPORTSは幾つかのコンテンツを手放さなければならない。そのことをCSから見ているユーザとしてはどう乗り越え、見せてくれるか期待したい。
スポーツ放送はディレイ放送でも構わないかもしれないが、スポーツは生物であることや選手達が生む興奮や感動を味わえる。ということを地上波放送とは違うBS放送の良さとして今回のF1を始め、たくさんのスポーツ中継で見せてくれたらと思う。

今やスポーツ中継は「嫌なら見るな」ならぬ、「スポーツに興味を持ちたいなら衛星放送で見ろ」という時代に変わっているのだろうか。
それは少し寂しい・・・視聴者を煽る風潮がないならば。